里親ってなに?「知りたいな はじめてのはぐくみホーム」ができるまで

里親になることを考えている人に向けて作成した冊子、「知りたいな はじめてのはぐくみホーム」。

児童養護施設「大阪水上隣保館 翼」さまと作成した、この冊子ができるまでをご紹介します。


里親とは

さまざまな事情により、家族と離れて暮らす子どもを自分の家庭に迎え入れ、あたたかい愛情と正しい理解を持って育ててくださる方のことを「里親」といいます。

大阪府では、そんな里親さんのことを親しみを込めて「はぐくみホーム」と呼んでいるそうです。

クライアントである大阪水上隣保館 翼さんは、大阪府豊中市にあります。
家族と離れて暮らす子どもたちと生活しながら、里親になりたい人との橋渡しを行なっています。

はじまり

当時、大阪水上隣保館 翼さんは、里親についての情報発信や相談会なども行なっていました。

そこで、「里親のことを知らない人に向けたパンフレットを作りたい」とご連絡をいただたのがきっかけです。

話を進めていくうちに、「里親を検討している方」に向けた冊子も制作することになりました。

冊子の希望イメージとして挙がったのは、下記のような点です。

冊子のイメージ

・はぐくみホームについて、基本〜現実的に里親を考えられるくらい幅広くカバーした内容

・教科書的な冊子よりかは、シンプルで読みやすい内容がいい

・デザインは優しくて大事にしてもらえそうな印象に

このご希望をもとに、表紙と中身の初期案を作っていくことにしました。

初期案

最初は目に見えるイメージがない状態なので、まずは「こんな感じの紙面になる」というラフづくりから始めました。

いただいた原稿の内容を紙面上に割り振っていき、ボリュームを確認します。

冊子なので情報量は多めになります。だいたいの配置ができたら、大事なものは大きく、補足的な文章は小さくしたり、流れやまとまりが分かりやすいように枠や矢印をつけました。

ざっくり、ページごとのバランスが分かるように

初期案を見たクライアントからは、

・もう少しくだけたデザインでもいいかもしれません
・より親近感を感じられるようにしたい

といったコメントをいただき、この初期案をベースに改良していくことになりました。

表紙

冊子の顔とも言える表紙。デザインの参考にしたのは、翼の職員さんが話していたことでした。

子どものニーズに合う里親さんとマッチングする。
それが、パズルをはめるみたいだなあと私は思っています。
子ども×里親の数だけ、色んな形があるということを伝えたいです。

里親と聞くと、

「夫婦共働きの家庭だと無理なのでは?」
「子育てを経験した人でないと難しいのでは?」

と考える人も多いのだそうです。

しかし、子どもの年齢や状況はさまざま。

子ども一人一人のニーズに合う里親さんを見つけてマッチングするので、共働きであったり、子育て経験がない人の家庭でも、環境を整えたうえで里親をしているケースもあるようです。

それが、パズルを組み合わせていくようでもあるということですね。

というわけで、クライアントの希望であった「優しい印象」を実現しつつ、パズルをデザインに取り入れた表紙を制作することに。

ラフ

”里親にはいろんなかたちがある”ことをテーマに、

パズルのピース、子ども、そして家庭、施設のイラストが並んだデザインを考えました。

丸みのある文字と、やわらかな色味で優しい印象に。
子どもっぽくなりすぎないよう、カラフルな色はポイント的に使いました。

文章を読みやすく

内容によっては、文字が多い部分もありました。
そのため、文字が多くても見やすく表現する方法を考えました。

例えば、「はぐくみホームがなぜ必要なのか」について伝えるコーナー。

当初のラフ案(文字が多い…)

最初のラフでは文字が多い印象。
もう少し読みやすくできないかと思い、内容を整理することにしました。

文章を添削したり、言い方を変えてみたり…。

最終的に、下のような形になりました。

はぐくみホームが必要な理由をそのまま並べるよりも、子どもたちの姿を思い浮かべられるような表現にしたい。

そう思い、「子ども目線」を意識しながら文章を修正させてもらいました。

はぐくみホームは、子どもたちの自立心や安心感をはぐくむ役割も持っています。
そのことが伝わりやすいような構成にしてみました。

子どもたちが話しているようなイラストも入れ、より読みやすい印象になったのではと思います。

イラストで文章を補足

冊子のあちこちにはイラストが入っています。

テイストはいくつか検討していたのですが、

頭身が高めの人間のイラスト

最終的に”シンプルなもの”にしました。

アイコンのようなイラスト
施設や里親さんを建物の形で表現

冊子は文章が多い分イラストが小さくなりやすいため、小さくても分かりやすいシンプルなデザインにしました。

親しみを感じられる紙面に

実際の里親さんに寄せていただいた体験談のページは、当初このようなデザインでした。

このラフについて、クライアントから「里親さん本人が話しているような紙面にできないか」とのご希望をいただきました。
流れは分かりやすいのですが、この見た目だとかなり堅苦しい印象になっていますね…

里親さん本人が話しているようなストーリー感を出すために、まずイラストを入れることに。

表紙と共通して、パズルのモチーフを使いました。

ストーリー感を意識

文章も「きっかけ」→「面接」→「研修」といった流れから、里親さんの気持ちの変化にフォーカスを当てたものに。

このような修正を経て、冊子は完成しました。

さいごに

今回は、デザイン面では「優しく大事にしてもらえる印象」、機能面では「シンプルで分かりやすい」冊子を目指しました。

翼さんでは、相談に来られた方への説明にも使っていただいているようで、「活躍しています!」という声をいただき、嬉しく思っています。

クライアント

私のつたない説明でイメージを伝えてしまいましたが、噛み砕いてイメージ通りの形にしていただきました。
頭の中にあった構想が、このような素敵な形となりとても満足しています。

大阪府のホームページ「さとおや通信」にて、里親制度についての情報が載っているそうです。
問い合わせ窓口の詳細や、イベントの案内なども載っていますので、気になった方はぜひ覗いてみてください。


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