小さなお店から大きな企業まで、さまざまな場所で使われているマスコットキャラクター。
かわいくシンプルな見た目は、作れる人なら簡単に作れるように見えるかもしれません。
…が!マスコットキャラクターはその事業の顔となるため、
見た人にスッとなじむ愛嬌はもちろん、「オリジナル感」と「わかりやすさ」をシンプルな形に落とし込むまでには、意外とたくさんの試行錯誤があります。笑
その過程の一例として、国立環境研究所・福島支部のマスコットキャラクター「ふれっく」をデザインした時の様子をご紹介します。
クライアントについて
国立環境研究所は、環境にまつわる今とこれからについての研究や周知を進めている機関です。
今回デザインしたキャラクターは、その中の「福島拠点」にて使われるものです。
キャラクターイメージについて
キャラクターデザインにあたって、クライアントから提示されていたイメージは以下のような感じでした。
- ふくしまの自然から生まれた、ふしぎな生き物「ふれっく」
- 何にでも興味津々で、色々なところにお出かけに行く。
- まるっこく、ぷにっとした質感。
- パーツの形とベースの体の色でこのキャラクターだとわかるようにしたい。
- メインターゲット:小学校高学年〜高校生
どうやって形にしたか?
さて、ここからはイメージを実際のキャラクターにおこしていく過程をご紹介します。
初めは、「ふくしま」を象徴する生き物や植物をモチーフにしようと思っていました。
しかし福島の自然について調べているうちに、福島には彩り豊かで、見ても登っても楽しそうな山がたくさんあるなと感じました。
山に囲まれた四国で育った私にとって、山裾に湖や湿原が広がる景色が印象的でした。水面に山の緑が映ってとても綺麗なんです。
そんなふうに、「福島の自然」を構成する魅力的なものは生き物以外にもたくさんあり…何か一つに限定するのは勿体無いなと思うようになりました。
色々描いてみているうちに、以下のような候補が。
A.いらないものをなくし、抽象的に作ったデザイン
(生き物や環境など、さまざまな要素を含んだ「自然」を表そうとしました)
B.自然の安心感を表現する、どっしりとしたスタイル
C.「精霊」をイメージした、身軽で飛べそうなデザイン
Aは抽象的すぎて子どもたちには分かりづらいかな?もっとキャラクター的に表現してみよう!と決めます。
自然を表す「水」「緑」「土」を色で表現してキャラクターの模様にするというアイデアは、最初から考えていました。山々はもちろん水辺も豊かな福島県。キャラクターの体の中に自然が生きているような感じがするデザインを考えていました。
水や緑、土は、それぞれが独立しているのではなくどこかで繋がっているという「地続き」「繋がり」を、色を重ねることで表現したいなとも思っていました。
「福島」を表すオリジナルな要素をどこかに取り入れたいなと考えていました。
悩んだのですが、色々描いてみたり寝かせたりしているうちに、「ふくしま」の「ふ」の字っていいなと思うようになります。
「ふ」の字をキャラクターで表すには…と考える時間はとても楽しかったです。
やっぱり精霊っぽい感じが似合っている気がしてきました。
ここからはIllustratorで作っていきます。
ラフに描いた「ふ」の字っぽい精をイメージしつつ、クライアントのキャラクターイメージを踏まえて調整。
丸っこくぷにっとするように伸ばしたり引っ込めたり。粘土のようです。
ベースの形がうまく出来上がったら、細部を整えていきます。
こうして、ふれっくのデザインが完成しました。
提案採用後、クライアントとの修正を重ねて最終的にこのようなキャラクターになりました。
何にでも興味津々な性格を感じる、キラキラの瞳とぷっくりしたほっぺがとても気に入っています。
体には、福島の自然をイメージした緑や水色をグラデーション風に入れました。
「こうだ!」と決めて作ったわけではなくても、当初の「ふくしまの自然から生まれた、ふしぎな生き物」というキャラクターイメージにぴったりのデザインになったと思っています。
そして、動物など特定のモチーフに寄らないように考えるという点がこれまでになく、難しくもあり楽しい制作でした。
ふれっくはそのあと、ノベルティグッズに使われたりイベント出展の際の工作キットに登場したりと、活躍しているようです。
子どもたちや10代の子たちからも「可愛い」と好評を得ているようで、これからの活躍もとても楽しみです。
制作例
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